記事の紹介:
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFK084Z30Y1A300C2000000/?unlock=1
日本経済新聞
ジョブ型人事、6割が「上司の評価力」に不安
この記事を読んで非常に理解できると感じる人事関係者は多いであろう。
一方、ここでフォーカスされている上司の評価能力が本質的な問題かというとそうではないと感じられる。
そもそも日本では職務定義を精緻に行わない、行えない会社が多い。
これは欧米では通常ありえないことで、これまでの日本の人事の問題の根源がここに表れていると言っても過言ではない。
組織は戦略に基づき設計されるの言葉の通り実現できている日本の会社は非常に少ない。
我々からするとこの時点で適切なジョブ型人事制度の運用ができるはずがない。
戦略に基づき組織がある、その組織を機能させるために各ポジションの職務定義書がある。これらが揃って初めてジョブ型人事制度が成り立つのだ。
これらが揃っていないにもかかわらずジョブ型を実現しようとするのは到底難しい。
組織にまで踏み込むとあまりにも壮大な話になってしまうが、最低限その組織にフィットする職務定義書は必須だ。
ポテンヒット多発、と懸念の意見が多いようだが、それも職務定義書を緻密に定義することで実現される。
会社が実現するべき機能が組織に反映されているはずでその機能には責任範囲が定義されているべきである。
そこに漏れがなければポテンヒットが起こりようがなく、そもそもの問題点はポテンヒットが生まれ得る責任範囲の定義がないことにあると言える。
それでも懸念があるなら社風や評価制度でケアすればよい。
職務定義に限定されず職務遂行上必要な仕事を積極的に拾いに行く人物を評価すれば保険となるであろう。
ゼネラリストを育成できない、という懸念もあるようだが、そこにも日本の人事の悪しき課題が背景にある。
そもそもゼネラリストが本当に必要なのだろうか。プロの経営者は経営の専門性があるためゼネラリストとは全く異なる。
日本のゼネラリストが機能しているのは社内根回しとしての機能が多く、本質的な価値があるとは言えない。
このような上司にありがちなのは細かなところは部下に任せてマネジメントする、という特性がある。
戦略的でないローテーションが招く損失のため本人の責任とは言い難いのだが、事実そのような人員が現在の日本のマネジメント層に多く存在する。
グローバルスタンダードのジョブ型になれば、当然責任ある役割の人材が根拠を持って意思決定する必要がある。
そこにシフトできない人材が当然淘汰されるためゼネラリストはそもそも不要になる。
本記事は、日本の人事の根幹にある問題を表した記事といえるだろう。
ただし、本格的なジョブ型への移行を実現する会社ではこれらの問題は全く発生しないものと推察される。
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グローバルコマースイノベーション エグゼクティブエキスパート 小林弘樹